白パンしか焼いたことのないおじいさんがいきなり、すとろべりーなんとかいう訳の分らないオシャレなものを作ったんだ。
変だろ? おかしいだろ? ありえないだろ? しかも自分でも食べたんだよ!
コーヒーばっかりだったおじいさんが、だよ!!
不安な気持ちで学校から帰って来た僕の前で、それは起こった。
初めてではないのに、やっぱり嫌な気持ちだ。
おじいさんの犬たち、助けてくれ。
僕の為じゃない、おじいさんの為に頑張ってくれ!
シニ・ガミが現れた。
まただ。
前回が冬の木曜日だった。今日は春の水曜日だから、まだたった六日じゃないか。
犬たちは……ダメだ。
忠吉さんは腰を抜かしているんじゃないか?
ラッシーはスプリンクラーで遊ぶ気だ。
誰だよ、スプリンクラーなんて設置したのは。
豆助は頼りになりそうだが、もう期待出来ないんだ。
おじいさんは、懇願した。
僕の成長を見届けたいって。
高校生になったばかりだから、せめて卒業するまで、って。
必死で頼んだんだけど……。
おじいさんは、あっさりお墓に吸収されてしまった。
今回は、いきなりお墓だった。もうダメって事なのか?
忠吉さんは、身体を洗いたがっているし、ラッシーはボールで遊びたがっている。
豆助は経験者故で戦力外だ。
残りはフランク? ハチ? アインはどこに行った?
おじいさんの犬たちは、今更に吠え出したけれど、『嘆く』ばっかりだった。
ラッシーはスプリンクラーで遊んでいる。
アインは昼寝をしていたが、いまだ起きない。
やっと出してくれたのは、忠吉さんだった。
そうだ。忠吉さん。おじいさんとは永遠の親友だろ?
ゆっくりと、忠吉さんはシニ・ガミの前に移動した。
そして吠えた!
だが、間に合わなかった。
(ここで決めたらカッコよかったのにぃ)
忠吉さんは、Uターンして身体を洗いに行った。
ラッシーはスプリンクラーで遊んでいる。
ハチは何もしなかった。
フランクは噛みおもちゃを噛みに家に戻った。
アインはついに起きなかった。
エンジェル! エンジェル! 言ってやれよ、ヘタレって!
デカい図体して、俺が出来たことが出来ねぇのかって! by豆助
フランクは噛みおもちゃを堪能しています。
忠吉さんは身体を洗ってスッキリとしています。気分爽快です。
孫「仕方ないよな。僕にだって何も出来ないんだからさ」
エンジェルにブラッシングをしてもらって、嬉しい忠吉さんでした。
もうすでに日常に戻っています。
ゲームオーバーでした。